東京体育専門学校「東京体専NEWS」2004年7月号/アメリカ・トレーナー研修
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2004年7月号
毎年7月に選択研修として実施している、テーピングやトレーナー実技を中心に学ぶトレーナー研修。
ロサンゼルス郊外カリフォルニア州立大学ロングビーチ校で行われます。
毎年10〜15名ほどの学生が参加し、この研修をきっかけに留学する学生もいます。
同校はソフトボール、バスケットボール、バレーボール、水球、女子サッカー、野球などが強い大学で、 ヤンキースの4番バッター・ジオンビー選手も卒業生のひとりです。
これらのチームを支えるトレーニングルーム(トレーナーが治療やテーピングなどをする部屋)は広く、ダン・ベイリーヘッドトレーナーの下、多くの学生トレーナーが学んでいます。
本校の卒業生・荻須良英(おぎすよしひで)さんもそのひとりです。
本校を卒業後にこの大学に留学。留学のきっかけはもちろん、アメリカ・トレーナー研修でした。昨年夏に全米トレーナー協会(NATA)の資格試験に合格し、プロバスケットボールチーム『ロングビーチ ジャム』のヘッドトレーナーとして活躍!

荻須君のテーピングもプロの技でした
今年は、後輩のトレーナー研修の指導に駆けつけてくれました。
彼は留学してから5年間、学生トレーナーとしてほとんどのクラブの試合に帯同しました。
「遠征の時も同行する内に選手の方から色々と相談をしてくれるようになりました。うれしかったですね。トレーナーの仕事として最も大切な選手が、信頼感を持ってくれたのかなぁと感じました。」
と語る彼は、他の学生トレーナーよりも倍以上の研修をしたのです。
さっそく、研修の開始。まずは、ヘッドトレーナーのダンがテーピング技術を学生たちに披露する。彼は40秒程で足首のテーピングを巻いてしまいます。速くて正確な技術に学生たちはだた驚くばかりでした。
「Let's practice!(練習しよう!)」の掛け声と共にテーピングの練習がスタート。
荻須さんも「まずは3分が目標だ。正確さが大切だよ!」と声を掛けながら学生を見て回ってくれました。
ヘッドトレーナー:ダン・ベイリー氏
トレーニングルームのボス・トレーナーと理学療法士の免許を持つ。
15年間、水球のアメリカ・ナショナルチームトレーナーでもあり、アテネオリンピックに帯同する。
荻須君は、東京体育専門学校の学生の時のトレーナー研修で「この大学に留学してトレーニングルームで勉強したい」との希望をダンは快諾してくれた。
ただし、英語の上達のために日本語を使わないことを彼に徹底したなど厳しいがとっても包容力がある、学生トレーナー、選手には『ビック・ボス』である。
全米中には彼の教え子でプロトレーナーとして活躍している者も多い。
我々の研修中にも選手がトレーニングルームを訪ねて来ます。
ケガのリハビリテーションもトレーナーの大切な仕事のひとつです。
選手が入ってくると、我々の研修を見ていた学生トレーナーがすぐに選手の治療を始めます。
ドクターの診察後に、できるだけ早く競技に復帰できるようなリハビリテーションプログラムはトレーナーによって作られるのです。
「まず選手から信頼されることが治療で最も大切なことだよ。」
というダンの言葉に学生たちは大きくうなずいていました。
これは、足首の捻挫などで患部にたまった老廃物を、冷たい水を循環させながら圧迫して押し出す機械です。
日本では接骨院などで使われている超音波治癒器や赤外線などを扱うのもトレーナなのです。
「スポーツには怪我がつきもの」ですが、まずは予防。そして競技への早期復帰がトレーナーの最も大切な仕事です!!
実技では、各部位のテーピングのほかにいろいろなリハビリテーションプログラムを学びました。「怪我をした直後の処置が大切なんだ!的確なアイシング(患部を氷で冷やすこと)で競技の復帰まで2週間も早くなることがあるよ。」とダンは話ながら、学生に幅広い伸縮包帯を巻いていきます。
包帯の下には、アイシングパック(細かい氷の入った袋)が肩全体を覆っています。
「野球のピッチャーは怪我の処置だけでなく、投げた後に必ずこうするんだ。」
大リーグは年間162試合を行うが、先発ピッチャーが5日ごとに投げられるのも、このようなトレーナーのアイシングに支えられているからなのです。

スポーツ傷害概論、スポーツ心理学、スポーツ栄養学…当校でも行っている科目ですが、そのコンセプトはより『選手が勝つための知識』として具体的で実践的です。

ダンと中島さん(左)。
ダンの元で学んだ日本人トレーナも多いです。
プロで活躍することを目指すトレーナーにもダンは色々な情報を提供しています。
中島さんもアドバイスを求め、ダンを訪ねて来ます。
スポーツ心理学を担当してくれたのは、現在大リーグのロサンゼルスドジャースでインターントレーナーとして働いている中島洋介さんだ。スポーツ心理学は、新しい学問でケン・ラビザ博士によって確立されました。アメリカのプロスポーツの発展と共にあると言ってもいいそうです。
「ドジャースのトレーニングルームは選手がリラックスできる『憩いの場』になっています。ヘッドトレーナの方針で、ケガをした選手を癒し、退場になった選手の怒りを静めたり、試合の緊張感をほぐす場でもあるんです。」と中島さんのユーモアを交えた講議に学生たちは聞き入っていました。トレーナーは、試合の4〜5時間前にはスタンバイするそうで、中島さんも講議が終わるとすぐにスタジアムへ向かいました。
翌日、私たちはドジャース・スタジアムへ試合観戦と共に中島さんの仕事を見るために出かけました。12時プレーボールのディゲーム。中島さんは7時にスタジアム入りだったようです。試合はドジャースが終盤まで1点差を追い掛ける展開でしたが、8回で逆転するとクローザーのガニエ投手が最終回を3人で押さえました。
ドジャースファンにも中島さんにも最高の勝利となりました。
中島さんはいつもベンチの一番隅で選手を見つめています。「彼の明るさが選手を支えているんですね…。」と学生のひとりが感心していました。
「今年は優勝しますよ!」と講議での中島さんの力強い言葉を思い出しました。

中島さんの仕事場はベンチとその裏にあるトレーニングルームです。

ドジャースの守護神:ガニエル投手の写真の前で勝利のポーズ!!
2週間の研修はあっという間でした。
最終日はテーピングやラッピングのテストが行われ、夜は成績発表を兼ねた『さよならパーティ』がダンの家で行われました。
成績優秀者はダンと荻須さんから表彰されました。そして荻須さんからスペシャルプレゼントとして、彼が担当しているチームの選手のサイン入りグッズをもらいました。それはなんとデニスロッドマン選手や田臥雄太選手のサインでした。
最後にダンが「みんなは短い期間で素晴らしいテクニックを学んだ。アメリカ人の3〜4倍の吸収力だ。私のトレーニングルームで働きたかったらいつでも電話してくれ!ヒデ(荻須さん)に続く立派なトレーナーになってほしい。」と嬉しいメッセージをくれました。
一人前のトレーナーの証としてテーピング用のはさみが全員に授与されました。

賞品はプレミア物のTシャツなど宝物ばかり!
当校では12年前から毎年7月に選択研修として実施している。テーピングやアイシングなどトレーナー実技を中心に学ぶ研修。毎年10〜15名ほどの学生が参加している。荻須さんに続く正規留学生を待っています。
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